2011-03-17

主張:日本の経済学者の責任

新聞やテレビで、日本の財政赤字や消費税導入の賛否について論じられている中、日本の経済学者はなぜ、より積極的に各種メディアを通して、このような議論に関する専門的な知識や考え方に対する理解を促そうとしないのか。

テレビ番組では頻繁に財政問題などについて特集が組まれるものの、中にはあきれるほどに内容が正確性に欠け、また、専門的な知識がないコメンテーターのコメントなどを通して、ただただ国民の不安を煽るような内容になっていることが多い。社会がこのような不正確な情報に溢れ、経済学を学んだことがあるものなら容易に論破できるような意見も多く述べられているにも関わらず、なぜ経済の専門家である大学教授は、声を上げないのか。

残念ながら、国民は容易にアクセスできる正確な情報の不足を受け、仕方なしに、池上彰氏をはじめとする、世の中の出来事に関する説明が上手なジャーナリストに頼っているのが日本の現状である。インターネットの時代であるにも関わらず相変わらず非常に高い新聞購読率を誇るなど、日本国民は本来トップレベルの知的な感心と理解力を併せ持っている。その需要に現在、大衆メディアは応えることができていない。

海外の経済学者の中には、各々の専門的な研究に取り組むのと同時に、メディアへの露出も避けることなく大衆紙に社説を掲載するなどして、一般的な読者でも理解できるレベルで、各国が面している経済的な問題について意見を述べるようにしている者もいる。

日本の有能な経済学者は、海外の専門家に劣らず、経済に関する非常に高度な専門知識を持ち合わせている。その知見を国民一般に広く知らしめることは、聖職に就くものとしての、社会的な責任ではないだろうか。

(文責:pitot-tube / 2011.3.7)

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